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好き≠恋(日文版)-第2章

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「意地に……、なってない?」
 からかうような声が聞こえて、健人はもう一度歩を見た。携帯を片手に笑っている歩は、悩みも何も無いように見えて本当に腹が立つ。健人はあまり、歩のことをよく思っていない。
「なってねぇよ。それに、俺が勉強をしようがなにしようがお前には関係ないだろ。関わってくるなよ」
「仮にも兄弟ですし。お兄ちゃんがそんなだと、俺も心配なわけです」
 お兄ちゃんとわざとらしい言葉が聞こえて、健人は眉間に皺を寄せた。歩の言う通り、健人の方が誕生日が早いため、健人は歩の兄になる。早いと言っても、2ヶ月ほどだ。たかだか、2ヶ月早いだけでお兄ちゃんだの言われるのは、良い気がしない。それが歩だから、余計にだ。
「俺はお前の脳みそが心配だけどな。そろそろ、マジで遅刻するから、俺は先に行くぞ」
「ああ、待ってよ。俺も行くってば」
 歩き始めた健人の後ろを追って、歩も走り始めた。
 健人が教室に到着したのは、朝のホ啷氅‘ムが始まる10分前だった。几帳面な性格をしていて、約束の時間の10分前には到着していないと気が済まない健人にとって、今日の登校時間は満足できるものだった。遅刻ギリギリになるかと思われたけれど、競歩のように早く歩いたので、予定よりもかなり早く着くことが出来た。まだ席は出席番号順なので、健人の前には歩が座ることになっているが、朝っぱらから女生徒に話しかけられ、校門の前で別れた。健人が席に着いたとき、隣から「おはよう」と言う声が聞こえた。
「藤枝、おはよう」
 健人の隣に座っているのは、去年同じクラスだった藤枝太陽だ。太陽も健人と同じように特待生で、家が貧乏だからという理由でこの学校へやってきた。その境遇が似ているせいか、健人も太陽とは喋る。穏やかで人当たりのいい性格をしているから、喋っていると落ち着いてしまうのだ。
「5月の半ばに、中間あるだろ? 結構、範囲広いらしいよ」
「へぇ、そうなんだ」
「佐偅盲啤⒔Y構余裕そうだよな。いつでも」
 そんなつもりは更々ないのに、飄々としているせいか、いつも健人は何事にも余裕があるように見られる。学校のテストに関しては、授業を受けて、ある程度復習をしておけば何とかなるので、余裕と言えば余裕だ。
「……そうか? 藤枝も、そんなにギリギリじゃないだろ?」
「ギリギリじゃないけどね、いつ抜かれるか分からないから……」
 健人と摺盲啤⑻枻咸卮槁浃沥毪铯堡摔悉い胜ぁ¥坤椤⒀10位以内に入ることが必須となっている。それを知りながらも、軽率なことを言ってしまったなと、健人は思ったけれど気にはしなかった。こんなことを言って太陽の気を悪くしてしまったとしても、言ってしまったのは取り消すことが出来ない。それに、こんなことで気を悪くするような人でもなかった。
「……あれぇ、歩、まだ来てね韦瑭‘」
 前から声がして、健人は太陽から歩の席に目を移した。歩の席の隣には、歩の友人である石動ジンが立っていた。健人と目が合うなりに、ジンは笑って「歩は?」と健人が歩のことなら何でも知っているように尋ねる。健人はそれに対しても、苛立ちを覚えてしまう。
「さぁ? 校門のところで女子に話しかけられてたけど」
 知らないと言ってしまえば歩の話などしなくて済むのだが、兄弟だと言うことを学年のほとんどが知っていて、一緒に登校していることも知られている。だから、下手にウソを吐いてもすぐにバレてしまうので、否応なしに本当のことを喋らなければいけないのだった。
「またかよ、アイツN锢恧违惟‘ト貸したまんまなんだよなぁ。早く返せっての」
 愚痴るように呟くと、ジンは健人を見て「最悪だよな、アイツ」と不貞腐れるように、唇を尖らせた。歩とジンは1年のときから同じクラスだった。互いに親友と認め合うぐらい仲がよく、行動はほとんど共にしている。出席番号順だと席も近いせいで、健人はいつも二人の会話を耳にしていた。
「最悪で悪かったな、最悪で」
 ちょうど、ジンが言い終わった後ぐらいに、背後から歩の声が聞こえた。二人揃って一斉に振り向くと、手に携帯を持った歩が不機嫌そうに立っていた。
「だって、お前さ、俺のノ冉瑜辚靴筏瑜Δ趣筏皮郡坤恚俊·い椤长违惟‘トが見やすいからってそれはないわ」
「返してないだけで借りパクって言うなよ。ちゃんと返すよ。1時間目の終わりまでには」
 そう言って歩は健人の隣を通り過ぎ、自分の席にカバンを置く。隣で仁王立ちしているジンを見て、苦笑いをした。
「終わってたら意味ないだろ! 今すぐ返せ、ハゲ!」
 目の前で漫才みたいな言い合いを聞きながら、健人はカバンの中から眼鏡を取り出した。別段、視力が悪いと言うわけではない。ただ、澶挝淖证婋yいから眼鏡をかけているだけだった。少しぼやけた視界が明瞭に見え、気が引き締まる。
「あⅸ‘、分かったよ。じゃぁ、また後でノ荣Jして」
「もうイヤ。一昨日貸して写さなかったんだから、また写さないだろ? お前」
「じゃぁ、こうしよう。前回の授業、何ペ溉·盲郡坤苯踏à啤¥饯长坤遍_けとくから」
 イヤだと言われても食い下がらない歩に、ジンは鬱陶しいという顔をして歩を見上げた。
「別にさ、俺じゃなくても、健人君に見せてもらえばいいじゃん。一緒に居るんだしさ、俺と同じ、特待生だし」
 何気なく言ったジンの言葉に、歩の動きが止まった。それが聞こえてしまった健人も反応せずにはいられず、歩を見上げる。一瞬、目が合い、健人はすぐに目を逸らした。歩にノ趣蛸Jすなんて、絶対にしたくない。そう思ってしまった感情が、今、顔に出てしまった。
「……そんな、お兄ちゃんに迷惑なんてかけれませんよ、俺」
 铡Щ工瑜Δ噬劋长à啤⒔∪摔悉猡σ欢葰iを見た。ジンを見ている歩は、健人からは表情が見えない。お兄ちゃんと喋る声は非常に耳障りが悪く、健人の思考を怒りで乱していく。
 鬱陶しい。と、心の底から思った。
 健人は歩のことをよく思っていないどころではない。かなり嫌っていた。
 二人の漫才は、担任の教師が教室に入ってきたことでやっと終わった。ようやく静かになった教室に、若い教師が教壇に立つ。見た目こそはまだまだ健人たちとそう年が変わらない大学生のように見えるが、一昨年大学を卒業したばかりの新任教師で、健人たちがいる2…Cの担任、財前樹だ。担任を持つのは今年初めてで、受け持つ教科は社会科である。医療ドラマの主人公と同じ苗字だからと言うだけで、あだ名が教授になった。本人はそれを物ともせず、教授と呼ばれたら返事をするユニ嗜宋铯馈R姢磕郡饽挲hも若いせいか、女生徒はもちろん、男子生徒からも人気がある。
「はい、席着けよW扭い皮胜い浃膜檫W刻にしていくからな
 その一言で、全員が一斉に席へと戻る。全員が席に着いたのを確認してから、樹は空席の机をチェックする。
「……あれ、林と水木はまだ来てないのか。誰か聞いてるか俊
 歩の左隣と、健人の左斜め後ろ、つまり太陽の前後の席が空席だった。樹の問いかけに誰も反応せず、聞いても居ないのにクラスメ趣匣イい四郡蚝悉铯护啤ⅰ袱丹。俊工仁驻騼Aげていた。
 数秒待ってみて、誰も何も言わないので、樹が遅刻のバツ印をつけようとしたとき、教室の扉が勢いよく開いた。
「きょうじゅ、ちょっとたんま」
 息を切らして教室に入ってきたのは、健人の斜め後ろの席にいる水木忍だ。教室に入ってきてからはゆっくりと歩き、席にカバン
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