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牛丸青年は息をころして、なかのようすをうかがっていたが、やがて安心したように、岩の表をさぐりはじめた。
おそらくさっきの怪人が、岩をひらいたあのしかけをさぐっているのだろう。しかし、銀仮面の一味もさるもの、そんななまやさしいことで、すぐわかるような、しかけをしておくはずがない。
牛丸青年はがっかりしたような顔色で、岩の表をながめていたが、やがて全身の力をこめて、岩を押してみた。しかし、牛丸青年がいかに怪力とはいえ、何十トンもあろうという岩が、そう、やすやすと動くものではない。
牛丸青年はいよいよがっかりした顔色で、うらめしそうに、岩の表をながめていたが、そのときなのだ。きゅうにあたりがパッと明るくなったのは……。
牛丸青年はびっくりして、ハッとうしろをふりかえったが、そのとたん、おもわず大きく目を見張った。
ああ、なんということだろう。さっきの牛丸青年が、いかりにぶらさがってきた宝石丸が、いまやえんえんとして燃えあがっているではないか。
おそらく船員のだれかのそそうから、火が燃料に燃えうつったにちがいない。見る見るうちにほのおが船ぜんたいを押しつつんで、牛丸青年には聞こえなかったが、パチパチともののはじける音、ドカン、ドカンとなにかの爆発するひびき。
あたり一面、ま昼のように明るくなった海面を、船からとびこんだ船員たちが、助けを求めながらただよっているのだ。
牛丸青年はびっくりして、しばらくこのありさまをながめていたが、と、このとき、かれのもたれていたあの岩の戸がぐらぐら動きだしたので、牛丸青年はギョッとして、もとの松林にとびこむと、下草のなかに身をふせた。
すると、ほとんどそれと同時に、岩の戸が大きくひらくと、なかからとびだしてきたのは、十人近くの人影である。船から無電をうけとったのか、それとも物音に気づいてとびだしてきたのか、燃えさかる船を見ると、しばらく、ぼうぜんとして立ちすくんでいたが、やがて、口ぐちになにかわめきながら、岸ぺきを目がけて走っていった。そして、そのすがたはまたたくうちに、岸ぺきにきざまれた、あのあぶなっかしい階段のほうへ、見えなくなってしまった。
そのうしろすがたを見送って、松林のなかからはいだしたのは牛丸青年。岩の戸のところまできてみると、なんとそれはひらいたままではないか。さすがの悪者たちも、よほどあわてていたと見えて、しめるのを忘れていったのだ。
(しめた!)
口がきけないのだから、ことばにだしてはいわなかったが、牛丸青年はいかにもうれしそうにあたりを見まわした。
と、このときだった。
とつぜん、船の中央から、ドカ螭趣いΔ猡韦工搐ご笠繇懁黏长盲郡人激Δ取⑻欷蓼扦趣嗓瑜Δ胜蓼盲驶鹬激àⅳ盲俊¥取⑼瑫rに燃えあがるほのおと、煠κ瑜蜓氦筏膜膜摺⒋悉筏肖椁I悉颉ⅳ韦郡Δ沥蓼铯盲皮い郡ⅳ浃皮蓼盲驻郡膜摔丹堡郡人激Δ取ⅳ证证群¥韦胜厣颏螭扦い韦坤盲俊
牛丸青年はそれをしり目にかけながら、用心ぶかく、仮面城のなかへもぐりこんでいった。
トランクのなか
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天じょうにはおちついた蛍光燈の光がかがやき、ろうかの両側には、ところどころ、緑色にぬった鉄のとびらがあった。人影はどこにも見えなかった。
牛丸青年は用心ぶかく、そのろうかをすすんでいった。間もなく下へおりる階段にぶつかった。見るとその階段にはまだ新しい足跡が、いりみだれている。
さては悪者たちはこの階段をおりていったのか……。
そう考えた牛丸青年は、あいかわらず用心ぶかく、その階段をおりていった。階段をおりると、そこにまたさっきとおなじようなろうかがあったが、そこからまた、下へおりる階段がついているのだ。そして、いりみだれた足跡は、その階段をおりている。
牛丸青年は用心ぶかく、その足跡をつけていったが、やがて階段をおりきると、足跡はこんどはろうかの奥のほうへつづいていた。
つまり、この仮面城は地下三階になっていて、小さなビルディングくらいの大きさをもっているのだ。
牛丸青年は内心舌をまいておどろきながら、足跡を伝ってろうかを奥へ奥へとすすんでいったが、とつぜん、ギョッとしたように立ちすくんだ。
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牛丸青年はギョッとして、急いで物陰に身をかくすと息をころしてトランクを見つめていた。
そんなこととは知るや知らずや、トランクのふたは三センチ、五センチ、七センチと、少しずつひらいていったが、やがて十センチほどひらいたかと思うと、そのままピタリと動かなくなってしまった。
おそらくなかの人物が、あたりのようすをうかがっているのだろう。やがてその人物は安心したのか、トランクのふたを大きくひらくと、ヒラリとなかからとびだしたが、なんとそれは三太ではないか。
ああ、船のなかで見つからなかったのもむりはない。三太は荷物のなかにかくれていて悪者どもにかつがれて、まんまとこの仮面城へしのびこんだのである。
牛丸青年は三太を知っていた。いつか三太が悪者の手先につかわれて、成城にある大野老人のところへやってきたのをおぼえていたからだ。
牛丸青年は物陰からとびだすと、やにわに三太におどりかかった。だれもいないと思ったこのろうかでいきなりひとにとびつかれたので、三太はギョッとしてふりかえったが、牛丸青年のすがたを見ると、
「ちがう、ちがう、ぼく、もう、悪者の手先じゃない。ぼくは文彦さんや、香代子さんのためにはたらいているんです」
三太はひっしとなって叫んだが、むろん相手は口がきけないのだからそんなことばが聞こえるはずがない。
牛丸青年は三太の手をとり、うしろ手にしばりあげようとした。三太はいっしょうけんめいにもがきまわる。
と、このときだった。
とつぜん、つきあたりの鉄のとびらがひらいたかと思うと、顔をだしたのは白髪の老人。ほおはこけ、目はおちくぼみ、からだは枯れ木のようにやせているが、どことなく気高い|威《い》|厳《げん》がそなわっていた。
「そこにいるのはだれか?」
老人はしずかな声でたずねた。牛丸青年にはむろん、その声が聞こえるはずがないが、三太のようすにハッとふりかえると、びっくりしたように立ちすくんだ。
そして、しばらく穴のあくほど、老人の顔を見つめていたが、やがてなにやらみょうな叫びをあげ、ばらばらと老人のそばへかけよると、いきなり、ガバとその足もとにひれふした。ああ、この老人はだれなのだろう。
映画の秘密
さて、こちらは金田一耕助である。
加藤宝作老人の住居から、まんまと、銀仮面に逃げられた耕助は、なにを思ったのかその翌朝、等々力警部や文彦、さては香代子をともなって、自動車をとばしてやってきたのは、多摩川べりにある日枺庭蓼未橛八坤盲俊
「|井本明《いもとあきら》さんという監督さんはいらっしゃいますか?」
と、受付の守衛にきくと、
「はあ、どういうご用ですか?」
「じつは警視庁からきた者ですが、ある事件の眨麞摔韦郡幛恕ⅳ激窑趣饩兢丹螭韦Δ颏辘郡い人激盲皮い毪韦扦埂
「ちょっとお待ちください」
守衛は電話でしばらく話をしていた